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あらすじOutline
有名バレエ団の事務所で殺害事件が発生した。殺されたのは風間利之という男性で、バレエ団との関わりは見出せなかった。加害者であるバレエ団のバレリーナの斎藤葉瑠子は、次のように証言した。
「用事があって事務所に戻ると、強盗犯と鉢合わせてしまった。その強盗犯が襲い掛かってきたので、自分の身を守るために無我夢中でそばにあった花瓶を振り回し、気が付いたらその強盗犯は床に倒れていた」つまり、正当防衛を主張したのだ。
彼女の供述に矛盾点はなかったが、大きな疑問点が残っていた。それは、金目の物がないバレエ団の事務所を、なぜ風間が強盗目的で侵入したのか?ということである。そこで警察は、風間利之とバレエ団の関わりを徹底的に調べることにした。しかし、見つかったのは、風間がこのバレエ団の1年前の公演のチケットを持っていたということと、風間がニューヨークにいた同じ時期に、男性のバレエ団員もニューヨークにいたという事実だけであった。だが、その事実は斎藤葉瑠子が強盗犯を殺害する動機につながるものとはとても考えられなかった。
そのように捜査が停滞していた折、そのバレエ団のバレエ・マスターであり、振付師であり、演出家でもある梶田が舞台での演技指導中に毒物で殺害されてしまう。状況からバレエ団関係者以外の犯行とは考えられなかった。なぜ梶田は殺されなければならなかったのか?また、第一の強盗殺害事件との関係は?
捜査が難航する中、ついに第三の事件が起きてしまった。それは、第一の事件の容疑者である葉瑠子の恋人・柳生講介の殺害未遂事件であった。この複雑に絡み合った事件の真相に、若き敏腕刑事・加賀恭一郎が迫っていく。
当サイトの管理人より
この「眠りの森」では、冷静沈着な加賀恭一郎の切ない恋心が一つの見どころ。この恋の相手との結末がその後の加賀恭一郎シリーズでは書かれておらず、「祈りの幕が下りるとき」では、また別の女性クローズアップさせているところは気になるところである。