ページ内 目次
あらすじOutline
現代の社会構造に疑問を抱き、それを破壊することを究極の目標とするニュータイプの暴走族グループ「マスクド・バンダリズム」。その一員である相馬功一は、ある夜、暗闇に点滅する不思議な“光”を見つける。その“光”は、まるで「こっちへ来いよ」と囁きかけているかのようだった。
優秀な医者になるために受験勉強に励む高校二年生の志野政史。最近、集中力が長続きせず、スランプに陥っていた。彼も、そんなある夜、不思議な“光”を見つけたのだった。
中学一年生の小塚輝美。彼女は、家庭問題を苦に自殺を考え、飛び降りようと真夜中にベランダに出た。その時、彼女もまた、不思議な“光”を見つけた。
現代社会の中で苦悩する若者たちを導く不思議な“光”。その不思議な“光”を操っていたのは高校二年生になる白河光瑠であった。彼は、“光”を演奏することでメッセージを発信することが出来、それを「光楽」と名付けた。彼の「光楽」に感応し、集う若者たち。その影響力は絶大であった。そして、その力の大きさを知った大人たちは「光楽」阻止に動きだし、その魔の手が光瑠に忍び寄っていく・・・。
不思議な力で若者たちを集める光瑠の狙いは何なのか?そして、大人たちはなぜ「光楽」の普及を阻止しようとするのか?
当サイトの管理人より
管理人は、昔、「アンノンマン(超人類)」という本を読んだことがある。20年以上も前に読んだ本だし、現物は手元にないので、どんな内容だったか事細かに覚えていないのだが、かすかな記憶を辿ってみると、
『生物は不変のものではなく、変化する環境に適応していくべく、長い時間を掛けて徐々に進化していく。これがダーウィンの“進化論”である。たが、種が滅亡の危機に瀕した時に、稀に「突然変異」のような急激な進化を遂げることがある。現在の人類は、まさに滅亡の危機に瀕しており、それに呼応するかのように、今までの人類の英知をはるかに超える“超人類”が現れ始めている。』
というような内容であったと記憶している。この小説「虹を操る少年」に登場する“光瑠”という少年は、「アンノンマン(超人類)」という本に書かれていた“超人類”を彷彿とさせるかのような少年なのである。このような話を非現実的な話しだと捉えている人も多いかもしれないが、管理人は必ずしもそうは思っていない。正直、現代社会の権力構造には辟易としていて、世の中を変えてくれる“超人類”の登場を渇望していないでもない。“超人類”の登場を渇望しているということは、それだけ現代の頂点に立つ権力の力が、普通の人では抗えないほど強大だと感じているからである。「東野圭吾氏にもそのような想いがあって、この小説を書いたのかもしれないな」…なんて、そんな根も葉もないことを管理人は想像してながら、かなり楽しんで読むことができた作品でありました。