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あらすじOutline
小説家の「私」は、調べものをするために図書館に訪れた。しかし、いつも使い慣れているはずの図書館の中で迷い、いつしか「私」は別世界に迷い込んでしまっていた。
そこで「私」を待っていたのは、ミドリという少女だった。少女は、「私」のことを「探偵の天下一」と呼び、市長の代わりに迎えに来たと告げた。
この世界で「私」は、探偵の「天下一大五郎」になっていたのだ。「天下一大五郎」と呼ばれることに戸惑いつつも、ミドリという少女に連れられ市長と会った頃には、その違和感もだんだんなくなっていくという不思議な感覚も味わっていた 。
「私」に対する市長の依頼は、街の中心にある聖者記念館から盗まれたある物を取り返して欲しいというものだった。市長が言うには、「この街には歴史がなく、記念館から盗まれた物はこの街のルーツを探す重要な鍵になるかもしれない。」ということだった。
「私」は、盗掘物の捜査のため、記念館保存委員会のメンバーに会うことにする。しかし、そのメンバーの一人・水島雄一郎が密室で殺害されるという事件が起こった。この事件で「私」は、何かがおかしいことに気付く。
実は、この街の人間には「本格推理」という概念が存在しないのだ。なので、水島雄一郎が亡くなった事件も、現場が密室であるという理由だけで自殺として処理しようとしていた。 しかし、「私」こと「天下一」は密室トリックを解明し、犯人を暴いた。さらに、水島雄一郎が殺害された事件には、例の盗掘物が関係しているのではないかと推測した。
やがて、「私」こと「天下一」の推理が進んでいく中、この街の正体が明らかになっていく・・・。
当サイトの管理人より
同じ名探偵天下一大五郎を主人公とした小説であるが、前作の「名探偵の掟」と違って笑いの要素はまったくなく、本格推理をテーマにした本格推理小説という構成である。また、この小説は、東野圭吾氏の本格推理小説への決別の誓いを表した書でもある。本格推理小説に愛情を感じつつも・・・である。