ページ内 目次
あらすじOutline
天才物理学者の帝都大学准教授・湯川学が常識を超えた謎に挑むガリレオシリーズの第4弾
【第1章:落下る(おちる)】
マンションのベランダから女性が落ち死亡した。警察内部では自殺と断定しかかっていたが、警視庁捜査一課に新しく配属された女性刑事・内海薫は自殺という判断に疑問を持っていた。それは、女性が死ぬ直前に親しい者と会っていた痕跡があったからである。まもなくそれは不倫相手の男性と分かるが、その男性は、女性が転落したちょうどその時に、マンションの下の駐車場で目撃されていた。果たして、離れた場所からベランダにいた女性を突き落とすことが可能なのか?内海刑事から相談を受けたガリレオ・湯川がこの謎に挑戦する。
【第2章:操縦る(あやつる)】
帝都大学の元助教授友永の家で、かつての教え子たちが集まり酒を飲んでいた。湯川も友永の教え子であり、その集まりに参加することになっていた。しかし、湯川が訪れる前に離れの家が延焼し、その焼け跡から男の刺殺体が見つかった。殺されたのは、友永のひとり息子であった。離れの家は密室状態であり、誰も近づいた形跡がなかった。しかも、凶器も見つからない。あまりにも意外な殺害方法をガリレオ・湯川が解明する。
【第3章:密室る(とじる)】
湯川の友人・藤村が経営するペンションの客が、ガードレール下に転落して死んでしまう。転落死する直前の客の部屋の状況を不信に思った藤村は、湯川をペンションに招き調査を依頼する。しかし「これ以上調べるのは止めてくれ」と、湯川に突然調査の中止を言いだす藤村。藤村の翻意に隠された真実とは?
【第4章:指標す(しめす)】
資産家の老女が自宅で殺害された。盗まれたのは3000万円相当の金の地金十キロ分含む貴金属などであった。さらに、その家の番犬が行方不明になっている。事件の当日にその家を訪問した保険外交員の女性・真瀬貴美子が疑われることになる。真瀬貴美子の娘・葉月は、母の無実を晴らすために、事件の鍵を握ると思われる番犬の行方を探す事にする。そして葉月は、水晶を使ったダウジングで見事にその行方不明の番犬の死骸を発見し、その結果真犯人が判明することになる。しかし、ダウジングで番犬の死骸を発見したという葉月の証言の対応に困った内海薫刑事は、湯川に相談することに・・・。
【第5章:攪乱す(みだす)】
警視庁に『悪魔の手』を名乗る者から届いた脅迫状。そこには、「自在に人を葬ることができる。警察には絶対に阻止できない」と書いてあった。さらに、「自分たちで手に負えないと思うなら、T大学のY准教授に助太刀してもらうとよい。どちらが真の天才科学者か勝負してみるのも一興だ。」とも。これは、むしろ湯川に対する挑戦状だったのだ。そして、『悪魔の手』が予告した死亡事故が起きることになる。しかし、それは単なる事故にしか見えなかった。『悪魔の手』が使った殺害方法とは?
当サイトの管理人より
第3弾の「容疑者Xの献身」での事件で二度と協力することはしないと決めた湯川教授を、再び警察に協力するように仕向けていく様が実にうまく描かれていると思った。いや、“仕向けていく”という表現は適当ではないであろう。“仕向ける”という言葉は作為的であることを意味するが、湯川教授がそんな作為的な行動に惑わされるわけがないのである。それこそ、内海刑事の事件に対する姿勢そのものに感銘し、この刑事になら協力してもいいだろうと思ったからであろう。
実は、東野圭吾氏は、前作の「容疑者Xの献身」をもって、ガリレオシリーズは打ち切りにしようと考えていたらしいので、第4弾以降もガリレオシリーズが続いていくのは、この内海刑事登場による功績が大きいのである。