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あらすじOutline
総理大臣の大月を含む各閣僚は、宇宙科学研究本部(JAXA)の研究主幹・松山から驚くべき事実を聞かされる。それは、ブラックホールの影響で巨大なエネルギー波が地球を襲い、その結果、3月13日13時13分13秒から13秒間の時間が消失するという衝撃の内容だった。分かっているのは13秒間の時間が消失するという事実だけで、それによって何が起こるのかは予測不能であった。あの2000年問題の時のように、大きな問題は何ひとつ起きないことも考えられるということだった。あの時のような過剰な反応によるパニックを恐れた政府は、この事実を世間には伏せておくことに決定する。
所轄の刑事・久我冬樹は、そんな事実を知る由もなく、ある事件の捜査中にその瞬間を迎えることになる。そして、その瞬間以降に冬樹が目にしたものは、廃墟と化した無人の東京であった。探索の結果、見つかった人間は冬樹を含めたわずか13人。境遇も年齢も異なるこの13人だけがなぜ生き残ったのか。他のすべての人間はどこに消えてしまったのか、誰も答えを見出すことはできなかった。
13人に次々と襲い掛かる天変地異。彼らは、また元の世界に戻ることを信じて、この災害を回避し、力を合せて生き抜こうとする。しかし、そんな彼らに、衝撃の事実が知らされることになる。それは、自分たちが今いる世界は元の世界ではなく、13秒の時間の喪失の影響によるパラドックスによって作られたもう1つの世界だということ。また、彼ら13人は、喪失した13秒間に亡くなった死者だということ。彼らが亡くなった時間が喪失したので、亡くなった事実との矛盾が生じ、彼ら13人のために新たな世界が作られたということだった。そして、この作られた世界は、その矛盾を解消しようと、この世界でも彼らを亡き者にしようとしているのだった。
果たして、このパラドックによって別世界に飛ばされてしまった者たちが、生者として、無事に元の世界に戻ることができるのであろうか・・・。
当サイトの管理人より
本来、価値観というものは人それぞれ違うものである。それを共通の価値観としているのが、法律や道徳というものである。しかし、果たしてその作り上げられた共通の価値観は本当に正しいものだと誰が判断できるのであろうか?この「パラドックス13」の本質は、きっとそこのところを問うていることにあるに違いない。