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夢幻花

あらすじOutline

水泳でオリンピックを目指していたが、その夢に挫折した秋山梨乃。そんな彼女に突然の訃報が届く。彼女の従兄・鳥居尚人が、突然亡くなったのだ。状況から自殺だと断定された。梨乃は、尚人の家族や友人に心当たりを尋ねたが、誰にもそんな心当たりはないようだった。

尚人が亡くなってからまもなく、更なる悲報が梨乃に届いた。一人暮らしをしていた梨乃の祖父・秋山周治が何者かに殺害されたのだ。現場の状況から、行きずりの強盗殺人の線で警察は捜査を進めていた。

しかし梨乃は、単なる行きずりの犯行でなないと思った。それは、祖父が育てていた黄色い花が無くなっていたからだ。梨乃がこの花の写真をブログにアップしようとしたところ、「この花を載せるのはだめだ。そんなことしたらえらい騒ぎになる」と祖父に止められたことがあった。このことから、犯人の目的はこの黄色い花を奪うことではなかったのか?と梨乃は推測したのだ。

梨乃は、犯人の手掛かりを見つけたいという思いで、黄色い花の写真をブログにアップすることにした。すると、翌日には、蒲生要介と名乗る人物からメールがあった。メールには、会って話しがしたいということと黄色い花の写真はすぐに削除したほうがいい、という内容が書かれていた。祖父と同じことを言う人物が気になった梨乃は、その蒲生要介という人物と会うことにした。そこでも蒲生要介は、「あの花には関わらないほうがいい」と梨乃に忠告するのだった。

納得できない梨乃は、もう一度蒲生要介に会おうと、メールに書いてあった住所を訪ねた。そこで、蒲生要介の弟・蒼太と知り合うことになる。そして梨乃は、兄のことをもっと知りたいという蒼太とともに、黄色い花の謎の解明に向けて動き出した。それが、事件の真相に繋がると考えたからだ。

また、彼女ら以外にも、この黄色い花に目を付けている人物がいた。それは、西荻窪署の刑事・早瀬だった。他の捜査員が気にも止めていなかった黄色い花に、早瀬刑事だけが着目したのはまさに執念だった。早瀬刑事には、どうしても事件の真相を自らの手で明らかにしたい理由があったのだ。 

黄色い花に秘められた真実とは?さらに、蒲生要介が梨乃に口走った『MM事件』と『黄色い花』との繋がりは?

当サイトの管理人より

この「夢幻花」に出てくる黄色い花とは、『黄色いアサガオ』のことである。現在、黄色いアサガオは存在しないようだが、江戸時代には本当に存在していたらしい。今まで存在したことがなかった花を作り上げることより、存在していたことがある花を復活させることが、なぜそんなに凄いことなのか?その論理の展開が実に面白かった。

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