ページ内 目次
あらすじOutline
二か月後に結婚を控えた神尾真世の元に突然の凶報が届いた。それは、父の英一が亡くなった、という警察からの連絡だった。亡くなった現場は自宅で、その状況から殺人事件だと判断された。
取り急ぎ、真世は実家でもある父の自宅のある町に戻ることにした。
その町は寂れた観光地を抱えていたが、再び客を呼ぶための華々しい計画が進行中だった。
その計画は多くの住民の期待を集めていたが、世界中を襲ったコロナウイルスの蔓延により、その計画は頓挫し、町は再興の望みを絶たれてしまった。
そんなタイミングに起こった殺人事件だった。
父の英一は元教師だが、多くの教え子から慕われていた教師だった。そんな父がなぜ殺されなければならなかったのか、真世は事件の真相を知りたいと思ったが、警察は被害者遺族にも捜査過程をまったく教えてくれなかった。
そんな途方に暮れる真世の前に現れたのが、元マジシャンで英一の弟、つまり真世の叔父にも当たる武史だった。「俺は自分の手で、警察より先に真相を突き止めたいと思っている」──。颯爽とあらわれた〝黒い魔術師〟が人を喰ったような知恵と仕掛けを駆使して、犯人と警察に挑む!
当サイトの管理人より
初期の探偵小説を彷彿とさせるような演出がある小説だった。タイトルにある“ブラック・ショーマン”とは、殺害された父の英一の弟、つまり真世の叔父でもある武史のことであり、この“ブラック・ショーマン”が探偵の役割を担っている。普通の探偵と違うのは、少しブラックな奇術を駆使して、真相を突き止めていくところだろうか。
物語の中で、神尾真世が中学生時代に想いを寄せていた津久見直也の話が出てくる。津久見は白血病のため若くして命を落としているのだが、真世の父英一が殺害された事件に大きく関わっていたことが意外であった。