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あらすじOutline
直井玲人が社務所の管理責任者として働く月郷神社には、不思議な力を持つ1本のクスノキがあった。クスノキの不思議な力がどんなものなのかを知るのは、玲人とその叔母の柳澤千舟だけであった。
そんな不思議な力を持つクスノキがある月郷神社に、弟と妹を連れた高校生の早川佑紀奈が訪れ、玲人にある頼みごとをすることからこの物語は始まる。
そのある頼み事とは、佑紀奈が作った詩集を神社に置いて、一冊200円で販売して欲しい、というものだった。
佑紀奈の頼みを受け入れ、神社にカウンターと料金箱を設置し、詩集を置くことにしたが、その詩集は一冊も売れることはなかった。
ところがある日、その詩集を熱心に読んでいる男がいた。やがて、その男は詩集が置いてあったカウンターから立ち去ろうとしたが、そのズボンの尻ポケットには詩集が入っていた。
料金箱にお金が入っていなかったので、男はタダで詩集を持ち帰ろうとしていたのだ。
玲人はその男を引き留め、お金を払わせようとしたが、男は「今はお金がないので、あとで払いに来るつもりだった」と言い訳し、お金を払おうとはしなかった。
そんな二人が揉めているところに佑紀奈が現れた。佑紀奈はその男に詩集を持ち帰ろうとした理由を尋ねると、詩集の感想を書いてもらうのを条件に、その詩集を持ち帰ることを許した。
玲人が「それで本当にいいのか」と尋ねると、「お金は欲しいけど、それ以上に読んで欲しい人に読んでもらうことのほうが大事だから」と、佑紀奈は答えた。
そんなことがあってから暫くして、神社の近くで強盗致傷事件が発生した。そして、その容疑者として逮捕されたのが、詩集を持ち帰ろうとしたあの男だった。
その事件の捜査で、刑事が月郷神社に来ることになった。担当刑事の中里よると、事件後にその男はクスノキに潜伏していたらしい。
それを聞いた玲人は、クスノキが持つ不思議な力を使って、事件の真相に迫ろうと試みる。そして、クスノキの力により、強盗致傷事件の当初の見立てとは違った、驚くべき真相が明らかになっていく。
当サイトの管理人より
「クスノキの女神」は、2020年3月刊行の「クスノキの番人」の続編である。
主人公である直井玲人が、なぜ月郷神社の御神木であるクスノキの番人となったのかは、前作「クスノキの番人」を是非読んで欲しいと思う。
この神社の実質的な管理者である柳澤千舟が、玲人にクスノキの番人を任せることにした、その切ない想いにきっと感動することでしょう。